10月も終わり流石に25°Cを超える事がなくなりましたが、今年の夏の暑さは厳しかったですね。
これから益々寒くなりましので、「高気密高断熱の家は暖かい」という体感を感じる事が増え、ついつい高気密高断熱の夏の問題点が薄れてしまう時期に入ります。
まだ、今年の猛暑の記憶が新しいうちに、高気密高断熱は暑いのかについて考えてみましょう。
高気密高断熱は暑いって本当?
本当です。
そもそも、断熱は熱をシャットアウトする効果なので、家を冷やしてくれる訳ではありません。
逆に人が発生する熱や湿度、家事などの生活熱、家電製品の熱があり、その熱が断熱材により遮断されるわけですから、当然です。
だから、エアコンの可動は必須なんですよ。
って、当たり前ですね。「そんな事わかっているよ」「エアコンを可動させても暑いんだよ」
ズバリ、その原因は、窓の遮蔽を考慮していないからです。
夏の日差しを遮る事は、日本人ならDNAに刷り込まれているくらい常識です。
築40年くらい前の家であれば、軒の出があり葦簀や簾が窓に下がっていましたね。
こちらは、2年半前に竣工した松伏町F様邸です。
意匠性からか、最近はシェードが増えましたね。
このような黒い家も流行っていますが、実は家を熱くする要因になりますので、黒い家をやりたい方は最低でも付加断熱仕様で建てる事をお勧めします。
これで完璧?
ではありません。
西側に対策できていない窓はありませんか?
シェードで完璧に日よけできていますか?2階の窓は?
東側も対策が必要ですね。もう朝から日差しが厳しいですから。
さらに、北側に夕日は当たりませんか?夏の日差しは北側まで差し込んでいます。
夏の暑さ対策として、軒の出・庇は効果ある?
効果はありますが・・・
5月から10月まで熱くなってしまった日本では、軒の出・庇だけでは難しくなってしまいました。
真南の太陽夏は夏至(6月22)が最も高く冬至(12月22日)なんですが、暑い時期を軒の出や庇でカバーしてしまうと、冬に日差しの恩恵を受けられず寒い家になってしまうのです。
家の建つ向きが真南とは限りません。
設計をする上で大切な事、太陽の向きと家の向きを考え窓の大きさ日射遮蔽を考えなければならないんです。
残念ながら、遮蔽をトリプルガラスサッシ(遮蔽)だけに頼っている家をよく見かけるんですが、これが高気密高断熱の家が暑いと言われる原因の一つかもしれません。
高気密高断熱にはパッシブ設計が必須!
高気密高断熱が暑い理由は、太陽からの日差しを考慮できていないからなのです。
敷地の真北(しんぼく)を考える事
近隣の家の状況を考える事(古家や空き地は未来も想定)
夏の暑さ対策の前に冬の日射取得を考える事
外付けブラインドは、夏涼しく冬暖かい環境をつくるのに効果的です。
他にも色々とありますが、そこはパッシブ設計ができる設計士さんにお任せしてくださいね。
高気密高断熱+パッシブ設計で夏涼しく冬暖かい家に
日本の気候は四季から二季になってしまったと言われるくらい、心地よい時期が少なくなってしまいました。
しかし、パッシブ設計とは、この夏・冬だけに特化している訳ではありません。少ないとは言え心地よい風も感じられる事もパッシブ設計の1つなのです。
結論
高気密高断熱は対策をしないと夏暑くなってしまいますが、そこにパッシブ設計を加える事で夏涼しく冬暖かい家となります。
ちなみに、高気密高断熱といっても、性能レベルと施工技術力の範囲が大きいので、高気密高断熱という言葉だけでゴールしない事をお勧めします。